一枚の絵
彼女の名前は楠茂美といい、ストレートの長い髪で、とてもキレイな目をした17歳のかわいらしい女の子だった。

茂美は近くの高校に通っていて、いつもは別の道を通って帰るんだけど、この日はなんとなく、この川辺を通って帰ることにしたらしい。


モデルになることをOKしてもらった俺は、さっそく次の日から週に一度、彼女にこの川辺に来てもらって描くことにした。


茂美は最初、

「ああ、なんでこんなことになっちゃったんだろう」

とでも言いたげで、川辺に来るのがとても嫌そうだった。

でも、引受けたものは仕方ないって感じで、嫌々ながら来てくれてたということだったらしい。


俺が何を言っても、

「・・・・・」

という、無言の返事が返ってくるか、ただ、うなずくだけが多かった。

答えても、つまんなそうに、ポツリポツリと小さな声で言ってたっけ。

俺も、何を話していいのかわかんなくって。
絵のことばっか話してたような気がする。

二人とも、カチンコチンに固まってて、すげー緊張してたなあ。






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