一枚の絵
でも、日が経つごとに、だんだん緊張もほぐれてきて、俺達は打ち解けていき。
お互いのこととか、いろいろ話するようになっていって。

あまりいい顔を見せなかった茂美も、笑顔を見せるようになった。

その笑顔は、初めてあったときの茂美よりさらにまぶしくて。

見ていると、ホッとすような、ドキドキするような。
とてもうれしい気持ちになって。

いつの間にか、俺は、茂美のことが好きになっていた。

茂美も絵を描くことしか能のない俺だけど、好きになってくれた。

そうして、俺達は自然と付き合うようになって、川辺で絵を描くだけじゃなく、たまには、ご飯を食べに行ったり、映画に行ったりとデートをするようになった。

それに、茂美は時々、学校の帰りに俺の家に来るようになり、ご飯を作ってくれたり、俺がいいって言ってるのに、

「洗濯ちゃんとしなきゃ」

とか、

「たまには掃除しなきゃね」

とか言って、洗濯や部屋の掃除までしてくれたりするようになった。

そんな茂美に、

「まるで若奥さんだね」

なんて、冗談まじりに言うと、

「それってプロポーズだったりして?」

と、まんざらでもないような感じで笑っていた。
















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