不思議トワエモア
「―――あの…」
「え!?あ、ごめん!直ったよ」
つい、本当につい、時間も忘れて私は鹿島君の髪を撫で回してしまっていたらしく。
戸惑いを含んだ声が耳に入り、咄嗟に手を退けた私の視界に耳を紅に染めた鹿島君が映った。
あれ、ちょっと触りすぎた……?失敗した、かな………それにしても鹿島君の髪柔らかかったぁ……って、変態みたいじゃん私。
「葵ーー!」
「グエッ!」
突然、廊下中に響くような大声が聞こえたかと思うと同時に、私は勢いよく誰かに抱き付かれて首を絞められた。
く、苦しい……この声に、この絞め具合、
───一人しかいない。
「……薫」
「はーい、薫ちゃんですよー!」
何時もの高すぎるテンションで話し掛けてくる薫に私ははぁ…と溜息をついた。
その異常な高さを目の当たりにした鹿島君は驚いているみたい。