不思議トワエモア

「ねぇ…なんで私をここに?」


 直球に訊いてみた。
 思い立ったらすぐにこういう事は訊いた方がいい。よく言うよね、思い立ったが吉日って。


「…さ……から…」


 …うん?
 もう少しハキハキと喋ってくれないと聞こえないんだけど。


「ごめん。もう一度言ってくれない?」


 そう言うと彼は先程よりもはっきり、かつ大きな声で言った。


「…木下さんと話してみたかったから…」


「……」


 しーんっと少し気まずい空気が流れた。
 壁に掛けられた時計の針が、カチッカチッカチッと動く音が妙に響いている気がする。


 き、気まずいんですけど?

 なに、この告白した後の返事を待つ時の様な少しドキドキ感のある雰囲気は。


 それに、言った後すぐに目を逸らした彼の頬はほんのりと赤く染まっている。


 か、可愛い…って、そうじゃない!何て返せばいいのっ。


「……」

「……」


 ちょっと!これどうすれば?
 まさか鹿島 久人からあんな言葉を言われる日がくるなんて。

 うーん………あっ、


「鹿島君ってここによく来るの?コーヒー入れる時も手慣れた感じがした」
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