不思議トワエモア

「鹿島君って人を呪えるの?」

「ブッ…ゴホッゴホッ…はぁ……なんで?」


 私の突拍子もない質問にコーヒーを飲んでいた彼は酷くむせ返った後、怪訝そうな表情をして訊いてきた。


 突然過ぎたみたい。

 でも私の前にいるのが本物の鹿島 久人なら、噂は完全な周りの誤解だ。


「噂で聞いたことあるから」

「…木下さんって意外にズバッと言う人なんだね」

「ああ、それはよく言われる」



 そう。

 私は、はっきりと言ったり訊いたりしちゃう性格だったりする。

 今のがいい例。

 あまり良いとは言えない噂の事を本人に訊くなんて。何時もはなるべく気をつけるようにしてるのに…。

 きっと、鹿島 久人とお茶をしながら話すという不思議な状況に陥って頭が混乱してるからだ。

 多分だけど…。



 私がそんな事を考えていると、前にいる彼が小さく息をついたのが分かった。


「──呪えるわけないよ」


彼は抑揚のない声でそう答えた。

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