ユウとりこの物語
第五章 漂流
 しばらくの間二人は静かな日々を過ごした。
 ある日ユウはりこをチャットに誘った。北九州市と福岡市の間で文字を通じて会話を
楽しめる筈だった。しかし現実には・・・・・・

  奥さん美人?

  もう長いことレスだよ・・・

  じゃあ風俗とか行くの?

  飢えてるように感じる?

  うーん?でもセフレとかいるんじゃなあい?

  ああ、いるよ!

  実はあたしにもそんなのいるんだ!

  オレ以外につきあってるヤツいるのか?

  マコトっていう大学生・・・でもガキだよ

  そいつと寝たのかい?

  ヘタだし早漏だよ

  悔しいな!

  ユウにだってセフレいるじゃない

  それは・・・

  ねえ奥さんと別れてアタシと結婚しようよ

  そんなに簡単なものじゃあない

  アタシやさしいよ・・尽くすよ

  誰にでもそんなだろ・・・


 気まずい雰囲気になりチャットを終わることにした。

 その後二人はあまりメールを交わさない日々を迎えた。

 りこは、その分無料のサイトで様々なメル友と交流した。
 お気に入りの相手は久留米市の浪人生で、彼の弟風のキャラが妙にかわいく感じるのだった。

 様々なオトコ達がりこにメールを送ってきた。しかしユウのメールは思い出したように時々しか来ない。
 ユウはセフレと別れた、あるいは逃げられたらしい・・・
 できることならユウの胸に飛び込みたい・・・そんな思いにりこは時々駆られる。
 だがそのチャンスは訪れないだろう。

 七月産休教諭の仕事が舞い込み夏休み明けには、本来勤めた幼稚園に復帰することが
決まった。ピアノの練習をしなければならない。コンビニのパートを辞めた時、自分がかって引きこもりの惨めな頃から変わったことを実感した。

 だが彼女の胸の内は何故か虚しいものがあった。

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