カワイイ娘のカ・ガ・ミ
「純子にケガをさせていたのは、あなたでしょ?」
私は亜里沙ちゃんに厳しく問う。
「後ろから押すと人間がどうやって階段を転げ落ちるのか見たかったの。2回も見ちゃった」
「ひどい……」
私は言葉が続かなかった。
「でもジュンお姉ちゃんはあなたと違ってケガをしてもちゃんと来てくれたよ。それって亜里沙のお姉ちゃんに本気でなりたいからじゃないの?」
亜里沙ちゃんが視線を上げて尋ねると、羊さんが目尻の皺を伸ばして頷く。
純子はお母さんからの仕送りを当てにできなかったはずで、生きていくために歯を食いしばって我慢していたに違いない。
今日も勇人君をちゃんと学校に送り出していた。