カワイイ娘のカ・ガ・ミ


「これから話すことを最後まで聞いてくれる?」

 鏡に映った亜里沙ちゃんの分身が一斉に私を見詰める。


「う……ん」

 大勢の亜里沙ちゃんたちを相手にして私はクラッと眩暈がした。


「亜里沙はね、悩み事があるといつもここでお願いをするの」


「ど、どんなお願い?」


「ミキお姉ちゃんを窓から落とそうとしたとき、ピアノの蓋で指を挟んだとき、それからジュンお姉ちゃんを階段から突き落としたとき、この部屋で“イケナイことをしちゃった。許してください”とお願いすると鏡の中の亜里沙が“許してあげる”と言ってくれるの」

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