カワイイ娘のカ・ガ・ミ


 亜里沙ちゃんの告白を聞いていた私は体の芯から震えた。


「物音に気づいたお父さんがやってきて“終ったことはしょうがない。楽にしてあげよう”と言って割れた鏡で唖璃子の頭と体を切りました。

お母さんは悲しみました。そして唖璃子の血のついた鏡をきれい拭いてからどこかへ譲ってしまいました。

悲しい記憶を忘れるためだったと思います。お父さんは目を離したお前の責任だとお母さんを責めました。

お母さんは鏡の部屋で首を吊って自殺しました。

それからお父さんは亜里沙の言うことをなんでも聞いてくれました。

ピアノも私だけに買ってくれました。

でも、忙しくて家にあまり帰ってきません。

亜里沙はお姉ちゃんがほしくなりました」

 言い終わったあと亜里沙ちゃんに微笑みをぶつけられ、私の心臓は凍死寸前。


 亜里沙ちゃんの言ったことが事実かどうかなんてわからない。


 自分がこの世で一番不幸なんだとアピールするための嘘かもしれないけど、柳沼家にこれ以上関わるのはあまりにも危険すぎる。

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