カワイイ娘のカ・ガ・ミ
いまの状況から抜け出すにはなにが必要だろうと私は頭をフル回転させた。
羊さんが私に薬を飲ませたことで亜里沙ちゃんの怒りは蓄積されているはず。
さらに油を注げば思いがけないことが起こるかもしれない。
でも、薬以外のことで羊さんが亜里沙ちゃんに黙っている隠し事なんて私が知るわけがないし……。
あっ……。
私はポケットに手を突っ込んだ。そのときの感触は神様と握手しているみたいで、怯えて冷えきっていた私の体を温めさせる力があった。
「これ、返します」
後方でいまだに純子の首をブロックしている羊さんに向かって、私は7枚の茶封筒の束を差し出す。
お金を手放すのにこんなに良い気分になれることは2度とないだろう。