カワイイ娘のカ・ガ・ミ
「わたくしはお金が目的で……」
「うるさぁ~い!みんなそう言うのよ。新しくきたお母さんはみんな……」
亜里沙ちゃんは地団駄を踏んで悔しがるように怒りを破裂させた。
「わたくしは違います」
「信用できない。お父さんに言いつけてやる!言いつけてやる!言いつけてやる!言いつけやる!言いつけてやる!……」
亜里沙ちゃんは「言いつけてやる!」と言うごとに鏡の床を踵で打ち鳴らす。その姿はまるでショートした産業用ロボット。
ドン、ドンという音が激しさを増すとピキッと雷のような亀裂が鏡に走り、亜里沙ちゃんの白い靴下が赤く染まった。