カワイイ娘のカ・ガ・ミ


「亜里沙ちゃん」と言って羊さんが走り寄ると亜里沙ちゃんが「触らないで!」と拒み、大きな姿見の間を器用にすり抜けて窓辺に逃げていく。


「手当てしましょう」

 羊さんはすぐに追いつき、亜里沙ちゃんの肩の上にそっと手のひらをのせた。


「ご、ごめんなさい」

 涙声で謝ったのは意外にも亜里沙ちゃんだった。


「いいのよ」

 羊さんが亜里沙ちゃんの頭を優しく撫でた。


 2人の行動は芝居がかった演技にしか見えなかった。2人の絆を私に見せつけようとする感じさえする。

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