カワイイ娘のカ・ガ・ミ
「亜里沙ちゃん、やっぱり2人もお姉ちゃんはいらないんじゃない?」
羊さんが湾曲させた酷たらしい目を私に向けながら亜里沙ちゃんに訊く。
「そうだね」と、亜里沙ちゃんがあっさり出した答えを聞いた羊さんは頷いて言った。「だったらどちらかを早く始末しましょう」
始末?!……聞き間違いであってほしいと願った。
羊さんの表情に浮かぶのは勝ち誇った笑みと嫉妬。
そして、右手にはキラリと光る果物ナイフ……私には絶望的な宣告を受けたに等しかった。
「ミキどけて!」
純子が私を払い除け、鏡に肩からぶつかって体当たりした。
スローモーションのように時を刻み、姿見が将棋倒しになって折り重なる。