カワイイ娘のカ・ガ・ミ


 警官は部屋にいる私たちの存在に気づいて“しまった!”という台詞がいまにも聞こえてきそうな顔をした。


 私と純子は顔を見合わせた。お互いビックリして見開いた目の大きさを見比べる。


 2人の様子を探っていた刑事さんは“このことは知らないな”と思ったのかなにも質問せずに「窓に近づくなよ。外に野次馬がいるから」とぶっきらぼうな言葉を残して警官とともに去っていく。


 “男性と思われる遺体”で頭に浮かんだのは亜里沙ちゃんのお父さんとお抱えの運転手さん。


 まさかお父さんを?!


 でも、亜里沙ちゃんはお父さんが生きている……ようなことを言っていた。


 『信用できない。お父さんに言いつけてやる!……』は、お父さんが現在進行形で生きているということにならないだろうか?

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