カワイイ娘のカ・ガ・ミ
足首にひんやりとした冷たい空気が纏わりつく。
『きてくれたんだね』
声域が狭く、こもった女の子の声がした。窮屈な箱に閉じ込められているような声。
私と純子の視線は地下鉄駅の鏡へと吸い寄せられる。
鏡にあの少女が映り込んでいた。
眼球にほとんど白い部分がない闇のような黒目は目をくり抜かれた人形みたいで薄気味悪く、長い髪を後ろで結んでいるリボンだけが鮮明な赤をはじき出していた。
顔は純子のほうを向き、私には後頭部を見せているのに、なぜか少女からの視線を感じた。
『ねぇ、お願いがあるの……鏡を割って』