カワイイ娘のカ・ガ・ミ


「今年に入ってすでに4件の自殺があったの。そのうちの何人かは鏡を割ってから走ってくる地下鉄の先頭車両にぶつかるように飛び込んだの。というのも過去にプラットホームから落ちて地下鉄に轢かれた少女が、醜い顔を見たくないから“鏡を割って……”とお願いしてくるらしいの」


「やだぁ~ジュンちゃん怖いよぉ~」


「それだと鏡の効果ないじゃん」


「そうそう、鏡を撤去すればいいのに」


 一部から異議が飛んだが、純子はまったく表情を変えずに話しを続けた。

「設置されている鏡は市が相談した心理学者の面子とかで、すぐに撤去というわけにはいかないんだって」


 純子の説明のあと、みんなが一瞬だけ静かになる。

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