カワイイ娘のカ・ガ・ミ


 正三角形を頂点とした西洋のお城のような屋根。

 真っ白いレンガタイルで清潔感を保ち、上部が円形の2階の出窓が西日を反射させていた。


 インターホンを鳴らすと、軽やかなピンポ~ンという響きの後に「どちら様ですか?」と女性の声が尋ねてきた。


「昨日メールでお約束したミキといいます」

 失礼のないように何度も反すうしながら考えた第一声を使った。


「お持ちしておりました。どうぞ中へお入りください」


 広い間口で植物をモチーフにした鉄鋳物の門扉が、キキィーとやや不快な音をさせて開く。

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