カワイイ娘のカ・ガ・ミ
階段を下りきったところで違和感が生じた。
“あるはずのないものがあるような”気がしたのだ。
そんな掴みどころのない違和感のことを考えていると、乗るはずだった地下鉄が発車してしまった。
しょうがないか……と、自分を慰め、7分後に到着する地下鉄を待つ。
エステや高級マンションなどの広告が並ぶ対向式のプラットホームは、改札口に並んでいた乗客のほとんどが駆け込み乗車に成功して人数が少ない。
私は娘の手を握ったまま等間隔に並ぶ支柱に寄りかかった。
心が休まるのは今くらいしかないかなと自虐的になりながら瞼を閉じた。