カワイイ娘のカ・ガ・ミ


「どうぞ」


 入ってすぐに玄関ホールをほぼ独占している階段が待ち構えていた。

 ドレスを着たお姫様が下りてきても不思議じゃないくらい優雅なカーブを描いて無駄なスペースを確保している。


 天井からはキラキラ光るクリスタルのシャンデリアが金色の繊細な灯りを落としていた。


 階段と壁にポップアート的な明るい色彩で、マンガスタイルのかわいらしい女の子のイラストが飾ってある。

 抽象的で難しい絵もなければ古めかしい自画像や風景画もなく、建物と雰囲気が合ってないような気がする。


 私は靴を脱ぎ、並べられていたスリッパに足を入れて女性の後ろを付いていく。


 玄関から直線状に中廊下が伸びていた。吹き抜け窓がなく薄暗い。

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