カワイイ娘のカ・ガ・ミ


「そちらに座って待っていてください」


「は、はい」


 女性は案内を終えるとすぐに部屋を出ていく。


 赤褐色の木材の椅子を引いたとき、やけに重かった。

 テーブルと椅子が輝いて見えた部分は縁を本物の金で細工してあるみたいだ。

 手垢をつけてはいけないと、腿の上に鞄をのせて余計なものに触らないようにした。


 いまになって場違いなところにいる自分に恥ずかしさを覚えた。唇も若干乾いている。


「お待たせしました」

 女性がハーブの匂いが漂う紅茶を携えて戻ってきた。


 テーブルの上に置かれてもガチガチの私は“おかまいなく”の一言さえ出せない。

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