カワイイ娘のカ・ガ・ミ


「その運転手さんのお名前は?」


「たぶん会うことはないと思いますので知る必要はありませんよ。ささ、どうぞ、紅茶を飲んでください」

 なにか不都合なことでもあるのか、羊さんは急に紅茶をすすめる。


「はい、いただきます」

 花柄でアンティーク調のティーカップとソーサーをカチカチ鳴らさないように注意して、私は紅茶を口に運んだ。


 口に含んだ瞬間は漢方っぽいニオイがした。

 高級な紅茶ってこんな味がするんだと思っていると、あとからクセのない上品なハーブの香りが口の中に広がる。

< 56 / 255 >

この作品をシェア

pagetop