カワイイ娘のカ・ガ・ミ


 その後、羊さんはにこやかに自分自身のことを話してくれた。

 柳沼家に住み込みで働いて3年になること。結婚は一度経験したことがあることなど。


「貴重な時間をありがとうございました」

 前々から考えていた決め台詞を残して私は柳沼家の玄関を出た。


 門扉から出ようとしたとき、背中に視線を感じた。

 振り向くと2階の角部屋にかかっているカーテンが揺れ、人影が見えたような……気がした。


 亜里沙ちゃんかな?


 でも羊さんは定期健診を受けに病院に行っていると言っていた。


 他に誰か住んでるのかな?


 私はそれほど気にせず、柳沼家を後にした。

< 60 / 255 >

この作品をシェア

pagetop