カワイイ娘のカ・ガ・ミ
その後、羊さんはにこやかに自分自身のことを話してくれた。
柳沼家に住み込みで働いて3年になること。結婚は一度経験したことがあることなど。
「貴重な時間をありがとうございました」
前々から考えていた決め台詞を残して私は柳沼家の玄関を出た。
門扉から出ようとしたとき、背中に視線を感じた。
振り向くと2階の角部屋にかかっているカーテンが揺れ、人影が見えたような……気がした。
亜里沙ちゃんかな?
でも羊さんは定期健診を受けに病院に行っていると言っていた。
他に誰か住んでるのかな?
私はそれほど気にせず、柳沼家を後にした。