カワイイ娘のカ・ガ・ミ
私は怖くて身動きできずにいた。
酸素を追い求める魚のように口をパクパクさせるだけで、“嫌”という拒否する声も響かせない。
『ねぇ、お願いがあるの』
頼み事をする少女の声は相手をうやまう心遣いなど感じられず低い。
私は首を左右に振ってなんとか意思表示することができた。
『鏡を割って』
私は髪が乱れるくらい必死になって首を振った。
“鏡を割ってから走ってくる地下鉄の先頭車両にぶつかるように飛び込んだの”という純子の言葉がじわじわと脳から染み出してくる。
恐怖が私を包んだ。