カワイイ娘のカ・ガ・ミ
『どうしてお願いを聞いてくれないの?』
尋ねたときの少女は微笑んでいた。でも、口許を緩めただけで黒い眼球はまったく動かさない。
冷たい微笑を突きつけられた私は体が凍る思いがした。
『ねぇ、どうして私が正面を向かないかわかる?』
質問の内容を把握できず、私の恐怖心は治まらない。
盛んに問いかけをしてくる鏡の中の少女は、正面の顔を私に見せてなにを伝えたいのだろうか?
「わ、わ、から……ない」
震えながら喉元から言葉を押し出した。
返事をすることで、いまの現状から脱することができるかもしれないと思った。
けれど、なにも起こらなかった。