カワイイ娘のカ・ガ・ミ


 もう!純子のせいなんだから。


 私は階段脇の鏡が目に入らないように、手のひらで壁をつくってプラットホームから逃げた。


 バス停で1時間半待つことになったけど、さっきの恐怖は二度と体験したくない。


 家に着いたときは午後8時を回っていて、お母さんが先に帰ってきていた。


「珍しいね、こんな時間まで夜遊びするなんて」


「純子と勉強して遅くなったの。中間考査が近いからこれからは帰りが遅くなるかも」

 中間考査が迫っているのは本当だけれど、どこで勉強したかなど余計な情報を与えず、お風呂場に避難する。

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