カワイイ娘のカ・ガ・ミ


 私たちが通う学校前にバス停はあるけれど、乗り継ぎしないといけないから降りてはまた走るという行動の繰り返しになる。


 結局遅刻してしまった。


 正面玄関の門は閉ざされ、生徒指導の先生が厳つい顔で顎を使って示した裏口に回る。


 私たちは裏口から生徒指導室へ直行して、遅刻状況届を書かなければいけない。


「ごめんね」


「謝らなくていいよ」

 純子は笑顔で答えてくれたけれど、本心はわからない。


 遅刻状況届には遅刻した理由を書く欄がある。

 私は『地下鉄じゃなく、バスで通学したら遅くなってしまいました』と脈絡のないことを書いた。

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