俺のココ、あいてるけど。
雨降る夜に
◇未来side.*:・゚
───“長澤、今出てこれる?”
その電話を取ったのは、もうすぐ日付が変わろうとしていた11時半過ぎのことだった。
あたしが住むこの地域でもようやく梅雨に入り、アパートの屋根や部屋の窓にはしとしと雨が当たっていた。
電話の相手はモッサ君。
2週間くらい前の社員研修で偶然にも再会して、番号を交換し合った加藤孝弘・・・・彼だった。
「どうしたの? こんな時間に」
目覚まし時計の針を確かめながらあたしは聞いた。
こんな時間から会うって・・・・電話じゃ言えないことなのかな。
「うん・・・・とりあえずはあとで話すよ。実は俺、今長澤がいるスーパーまで来てるんだ」
“えっ!?”と驚く声を上げたあたしに、モッサ君は続けて言う。
「10分・・・・いや、5分でいい。長澤の顔見て元気もらいたいんだ」
そう言われて・・・・切なく絞り出したような声で言われて、断れる人がいるのだろうか。
あたしはお財布と携帯だけを持って急いでスーパーに向かった。