俺のココ、あいてるけど。
「ところでさぁ、長澤」
「何?」
モッサ君は車に乗るとすぐに煙草に火をつけた。それは、登坂さんと同じマイルドセブン。
そんな共通点を見つけて登坂さんの顔が頭に浮かぶあたしは、どこかおかしいのかな。
「長澤って、まだあの彼氏と続いてたりするの? 気になって」
少し開けた窓の隙間から煙草の煙を吐くと、モッサ君は突然そんなことを聞きだした。
「へっ? ・・・・あ、もう別れちゃった。というか、いつもの理由で振られちゃって」
「“重い”?」
「そう。・・・・ねぇ、モッサ君の話ってこれを聞くためなの? もしそうなら電話じゃダメだった?」
あたしは、なんだか怖くなって傘の持ち手をギュッと握った。
正直に答えるあたしもあたしだけど、いきなり恵介の話を始めるなんて、やっぱり今日のモッサ君はどこか違う。
バイトを辞めるときに仲間が開いてくれた飲み会での話を持ち出すなんて・・・・。
一体、どうしたんだろう。
「それなら・・・・俺にもチャンスあるよな? どう? 俺と」
・・・・えっ?