俺のココ、あいてるけど。
◆誠治side.*:・゚
ガチャッ。
タッ、タッ、タッ、タッ・・・・。
夜11時半過ぎ、隣の住人、長澤は慌てた様子で部屋を出ていった。
雨も少しずつ強くなってきているというのに、こんな時間に何の用事が・・・・急ぐほどの用事があるのだろうか。
この日、たまたま早く仕事が片付いた俺は、11時には部屋に戻り一服をしていた。
溜まった洗濯物を洗ったり、部屋の片付けをしたり・・・・。
休みの日はほとんど1日中眠りっぱなしの俺には、家事をする余裕も時間もなかった。
「どうしたんだろう、長澤の奴」
掃除の手を止め、カーテンの隙間から外の様子を確かめる。
ここからだと雨足が強い弱いのって、それくらいしか分からない。
だけど、なぜか気になる。・・・・気にしてしまう。
「まさか・・・・男か?」
いやいや。
どうして長澤に男がいないと勝手に決めつけているんだ、俺。
そういう話は一度だってしたことも聞いたこともないのに、あの日の寝言から“長澤はフリーだ”と思い込んでいたんだ。