俺のココ、あいてるけど。
だからなのか、そうじゃないのか・・・・この前の研修のように“早く戻ってこい”と出かけたそばから思ってしまう。
雨足と時計の針が気になって、長澤が部屋に戻った気配がするまではなぜか何も手に付かなかった。
「好き・・・・なのか? 俺」
時計の針も1時を回り、辺りも長澤も寝静まった頃・・・・ただ1人、また“眠れない夜”を過ごすことになりそうな俺。
ベッドに入っても眠れない。
長澤が隣にいることが当たり前になりつつある最近、新人指導を終えても何かと関わりがあって、ただの“社員同士”という関係ではなくなっているように思う。
近くにいるからか、歓迎会や病院でのことがあったからか・・・・。
“一社員”としての目だけではなく、違う目でも長澤のことを見ている気がする。
「でもな・・・・」
でも、麻紀のことがある。
たとえ長澤を好きになったとしても、恋と仕事を両立させるなんて今の俺の力じゃできそうもない。
お互いに辛い思いをするだけだ。
あんな女性の涙はもう二度と見たくはないんだ・・・・。