俺のココ、あいてるけど。
「・・・・もう考えるのはよそう」
2時半を過ぎた頃、ようやく俺は眠りの淵に立った。
心地いい眠気が全身を襲う。
どっちに転ぶにしろ、今は急いで答えを出す必要はない。
気持ちで感じるものを頭で考えたって、そうそう答えが出るものでもないだろう。
そう、気持ちの問題なのだから。
ただ、今言えることは“自分の気持ちの行方が分かっても行動に移す勇気はない”・・・・ということ。
“麻紀”という女性のことは吹っ切れても、あの“別れ方”からはまだ立ち直れていないのが実際のところなんだ。
またあの過ちを繰り返してしまうんじゃないか・・・・そう思うと恋から一歩を引いてしまう。
「綺麗ごとだな、俺・・・・」
そのつぶやきを最後に、俺はやっと眠りにつけた。
深夜になってもまだ降り止まない雨がアパートの屋根を静かに叩く音を子守唄にして・・・・。
それから胸にモヤモヤした気持ちを抱えたまま日数だけが過ぎ、季節は夏に変わろうとしていた。
太陽が一番元気な季節───・・。