俺のココ、あいてるけど。
「しょうがないなぁ、もう・・・・」
恋にまっしぐらになれる綾ちゃんを羨まく思いつつ、戻ってくるまで1人で進めることにした。
もうすぐ閉店の夜8時過ぎはお客様も少なく、こういう大がかりな作業をするには適した時間帯。
でも今は、まだ半分も終わっていない花火と格闘中。
閉店時間までに終わらせないといけないのに・・・・間に合うかな?
「やったぁ♪ 登坂さんが少し笑ってくれましたよ、未来さん!」
それから少しして、戻ってきた綾ちゃんは息を弾ませながら言う。
「よかったね。さ、綾ちゃん、今日中の仕事だから頑張ろっか!」
「はぁい♪」
本当に嬉しそうな顔をして話す綾ちゃんに、あたしはそうとしか言えなかった。
でも・・・・どうしてだろう。
“少し笑ってくれた”───その言葉に、胸の奧がチクッと痛い。
綾ちゃんより長く一緒に働いているのに、登坂さんはあたしにはあまり笑いかけてくれない。
劣等感・・・・みたいなものかな?
傍観者なのに変なの、あたし。