俺のココ、あいてるけど。
 
それから俺は店内を一周し、細かな指示を出したり閉店前の確認をしたり、10分ばかり歩き回った。

長澤たちがいる花火の近くを通ったときも、梅村綾に大胆に手を振られた。

それを注意できない長澤は、申し訳なさそうに頭を下げた。


そんな2人を見ていると、俺は不思議でならない。

対照的な性格同士、反りが合わないということはないのだろうか。

本当に不思議に思う。





「はぁ〜・・・・」


バックヤードの事務所に戻ると、ついつい大きなため息が出る。

俺もまた、厄介な奴に好かれたものだな・・・・。


24年間生きてきたんだ、梅村綾がどうして俺につきまとうのか・・・・その行動の理由は分かる。

“好ぎだから”

その一言で簡単に片付く。


「だいぶ気に入られいてるようだな、登坂。・・・・ご苦労なことだ」


すると、俺の肩に店長がポンと手を置く。同情のつもりらしい。


「店長・・・・。見てたんなら助けてくださいよ」


でも俺は、同情よりも梅村綾を叱る“鶴の一声”が聞きたかった。
 

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