俺のココ、あいてるけど。
いや、その年代の人が全てそうとは限らない。
ただ、梅村綾に関して言えばその傾向は強いように思う。態度や言葉遣いに、そう思わせる部分がたくさんある。
「・・・・いけない。深く考え込むのは俺の悪い癖だ。さっさと仕事を片付けよう」
誰に言うでもなくそう言って、俺は頭を切り替えてパソコンに向き合った。
昔からそうだ。
考えだしたら止まらなくなる、それが俺の悪い癖。
いい加減、直そう。
「あ、いたいた!登坂さ〜ん、お疲れさまでしたぁ♪」
「お疲れ」
夜9時を少し回った頃、梅村綾がバックヤードに顔を出した。
俺は、パソコンから目を離さずに短くそれだけ言う。
「お仕事頑張ってくださいね♪」
「あぁ」
そう言うと、梅村綾は特に気に障った様子もなくタイムカードを押して帰っていく。
それから次々と社員やバイトがタイムカードを押し、あっという間に店内は静かになる。
ここで働く者としてはそぐわないが、俺は“静かなスーパー”という空間が一番好きだった。