俺のココ、あいてるけど。
○。April。○
新生活
◆誠治side.*:・゚
あの日から半月ほどが過ぎた。
世間は春真っ盛り。
俺が暮らす地域ではまだ桜の季節には少し早いが、新入生、新社会人・・・・真新しいランドセルやスーツを見ると、それだけで十分に春を感じられた。
あの日・・・・。
麻紀から突然の別れを切り出されたあの日は、まだ少し雪が残る季節だった。
それが、今では桜の蕾も膨らみ、あとは咲くだけとなっている。
季節が変わるのは早いものだ。
だけど俺は、まだ“春”には程遠い。それどころか、真冬に逆戻りしてしまった。
麻紀との暮らしは、春を待たずに終わってしまった。
別れる理由はただ一つ・・・・。
「ごめん、誠治・・・・私、寂しかったの。いつも1人でご飯食べて、休みの日も合わなくて、デートもしなくなって・・・・もう耐えられないの」
麻紀を1人にさせすぎたせい。
「1年くらい前からずっと悩んでて・・・・。でも、誠治は毎日忙しいし、わがままなんて言えないって思ってて・・・・」
顔を手で覆いながら、そう言っていた。