俺のココ、あいてるけど。
そんなとき、気持ちを静めるのに役に立ってくれるものがある。
聞きたくない話を聞いたとき。
俺の知らなかった長澤のことを他人から聞いたとき。
それから、ひょんなことから、思いがけず自分の本当の気持ちに気づかされたとき・・・・。
そんなときに役立つものがある。
ミリ数違いのマイルドセブンと、小さな字で書かれたメモ紙。
どちらも長澤が“俺のために”とくれたもの・・・・。
梅村綾にその話を聞かされたすぐあと、俺は急いで事務所に戻り、引き出しの中に大切に保管していた2つを取り出した。
そして、いつもの場所でメモを見ながら煙草をふかした。
・・・・もう咳き込んだりはしない。
「好き・・・・なんだ、俺。長澤が」
満天の星空に向かって、煙草の煙と一緒に、今さっき生まれたばかりの気持ちを吐きだした。
“好き”
そう、理屈じゃないんだ。
やっと、胸につっかえていたモヤモヤした気持ちが晴れた。
───俺、長澤が好きだ。