俺のココ、あいてるけど。
 
何度ついてもつき足りないため息は、一体どこに持っていけばいいんだろう。

そもそも、なんであたしはピンクの下着でこんなにも落ち込まなくちゃならないんだろう。


「あっ!」


───登坂さんだから。


登坂さんだから、あたしは怒りもするし落ち込みもするし、ちょっと見栄も張りたい。

登坂さんだからだ。


そういえば・・・・。

合コンに合わせて買った服も、無意識に“登坂さんだったら何が好きかな?”って考えてもいた。

モッサ君に「その服、かわいい」って褒められたときも、本当は登坂さんに褒めてもらいたかった。

・・・・隣にいてほしかったのは、紛れもなく登坂さんだった。


「好き・・・・なのかな? あたし」


布巾を動かす手が止まる。

スズメがチュンチュンと鳴きながら朝のダンスを踊っている。

そんな中で目を閉じ、胸に手を当ててみると・・・・ドキドキ。


───ドキドキ、ドキドキ・・・・。


心臓が高鳴っているのが分かる。

さっきの焦った顔に“かわいい”と思うあたしがいる。
 

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