俺のココ、あいてるけど。
 
でも───・・。


「どうしよう・・・・。好きになっちゃいけないのに・・・・」


あたしは登坂さんを好きになっちゃいけない。これ以上は・・・・。

だって、綾ちゃんは登坂さんが好きで、あんなに一生懸命に近づこうとしているんだよ。

“おとなしくしててくださいね”

そう言われたんだよ、あたし。


「・・・・想うだけでいいよ」


あたしは、布巾をギュッと握って自分にそう言い聞かせた。

何度も、何度も・・・・。


綾ちゃんの気持ちも痛いくらいに知っているし、また精神的にも肉体的にも辛くなることは嫌。

本音を言えば、恵介に振られたときのように“重い”だなんて思われたくないんだ・・・・。

登坂さんだけには、どうしても。


だから───・・。


だからあたしは、自分の“想い”に蓋をすることにした。

“想い”が吹きこぼれないように“重い”石を乗せて・・・・。


もう、登坂さんの部屋の前で語りかけるのもやめよう。

“隣同士、社員同士”の関係をこのまま続けることにしよう・・・・。
 

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