俺のココ、あいてるけど。
 
これがあたしの精一杯。

これがあたしの精一杯の想い方。

自分を変える努力もしない、弱虫のまんまのあたしの精一杯・・・・。





それからあたしは、いつもより念入りに休憩室の掃除をした。

几帳面に机を拭いて、椅子も線を引いたみたいに一直線に並べた。


そうすると、だんだん気持ちが落ち着いて仕事に切り替わる。

休憩室がピカピカになった頃には朝礼の放送がかかって、そうしていつものあたしに戻った。


だけど、朝礼が始まると、どうしても登坂さんにばかり目が行く。

それに気づいた登坂さんは、小さく“ごめん”と口を動かす。

そのときあたしは・・・・とっさに視線を外してしまった。

胸がズキズキ痛い。


「ねぇ長澤さん、登坂さん、今のってあくびかな?」

「へっ?」

「なんか、口がモゴモゴ動いてたよ。見なかった?」

「いえ・・・・」


店長の話の合間に、隣の社員さんと目を盗んでこそこそ話。

社員さんは分からなかったのにあたしだけ分かるなんて。

どれだけあたしは───・・。
 

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