俺のココ、あいてるけど。
 
そんなあたしだから、店長の話も仕事もどこか上の空で・・・・。


「俺が気づいたからよかったものの、しっかりしてくれよな。長澤らしくないぞ」

「はい。すみませんでした」

「山下さんには俺から謝っておいたが、あとで長澤からも頼むな」

「はい・・・・」


閉店間際の事務所で登坂さんと2人きり、こうして怒られることになってしまった。


「まぁいい。お客様のほうにはご迷惑はかからなかったんだ、それでよしとしよう」

「・・・・はい。失礼します」





「何やってんだろ、あたし・・・・」


本当、最悪・・・・。

事務所を出て鮮魚担当の山下さんのところへ謝りに行く途中、何度となくため息が出た。

おまけに泣きそう・・・・。


それは午後の出来事。

その日サービスカウンターで仕事をしていたあたしは、大切な連絡をするのをすっかり忘れていた。

開店と同時に1人のお客様がやってきて、あたしに言ったんだ。


「急で申し訳ないのだけど、お刺身の盛り合わせを夕方6時までにお願いできませんか?」
 

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