俺のココ、あいてるけど。
 
腕時計の時刻を確認する登坂さんに倣って、慌てて目の前の壁時計を見ると・・・・3時を過ぎた辺り。


「すみませんっ!すぐに持って行って準備してもらいますっ!」


半日近くも放っておいたことにそのとき初めて気づいたんだ。

それからは、山下さんやほかの鮮魚担当の人たちに大至急盛り合わせを作ってもらって。

なんとか6時までに2セット、準備することができた。


こんなに大きなミスは今回が初めてで、危うくお客様の信頼を失うことになりかけた。

公私を分けられないあたしの子どもの部分が露骨に出てしまった出来事だった・・・・。





「よぉ!長澤ちゃん!」

「あ、山下さん・・・・」


バックヤードをとぼとぼ歩いていると、ちょうど一服をしに行く途中の山下さんと出くわした。

山下さんは、強面だけど笑うと目がなくなるくらい細くなって、すごく親しみやすくなる。

でも、怒るときは本当に怖くて、及川君や安藤君が落ち込んでいるのをたまに見たことがあった。

今は笑っているけど・・・・それも、申し訳ないないけど怖い。
 

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