俺のココ、あいてるけど。
 
あたしは“よし!”と腹を決めて一歩一歩、山下さんに近づいた。

雷が落ちようが、嵐が来ようが、登坂さんが気になって仕事に身が入らなかっただろうが・・・・。

これは、言い訳のしようのないあたしのミス。

謝らなきゃ。


「山下さん、今日は本当にすみませんでした!もう同じ失敗は繰り返しません!」


あたしは声を張り上げて、深く深く頭を下げた。そして、山下さんのお叱りを待った。

でも・・・・。


「いやぁ〜、ここだけの話だけどな、スリル満点で楽しかったよ。長澤ちゃんも案外ぽけっとしてるところ、あるんだな」

「・・・・はい?」


コチン。


「まぁ、今日はこれで。次からは気をつけるんだぞ」

「・・・・」


頭に軽いげんこつをすると、山下さんはそんな言葉を残してすたすた歩いていく。

・・・・えっ? これだけ?

げんこつだって全然痛くないし、なんだかものすごく上機嫌。

な、なんで・・・・?


「あ、長澤さん!」


すると、安藤君がひょいと顔を出した。彼もなんだか上機嫌。
 

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