俺のココ、あいてるけど。
───「1年くらい前からずっと悩んでて・・・・」
麻紀はそう言っていた。
たった一人で俺との別れをそんなにも前から考えていたんだ。
俺は、それにも気づかなくて、気づいてやれなくて・・・・麻紀を辛い目に遇わせてしまった。
俺の勝手な思い違いかもしれないが、麻紀は俺のそばにずっといてくれると思っていた。
つき合って5年、一緒に暮らし始めて3年目、麻紀を疑ったことなんて一度もなかった。
最高の彼女で、何年か先の未来では最後の彼女にしようと・・・・結婚しようと考えていた。
そのことを口に出して言ったことはなかった。だけど、心は麻紀でずっと前から決まっていた。
完全に男の・・・・俺のエゴだ。
“言わなくても分かっている”
“麻紀は俺を分かっている”
そう思っていた。
「・・・・私、この部屋を出て一人暮らしをしようと思うの。だって、この部屋は誠治との思い出でいっぱいだから・・・・」
止まらない涙を拭って、一生懸命に笑顔を作ろうとした麻紀。
その麻紀の顔が、今でも頭から離れることはない。