俺のココ、あいてるけど。
 
そんな姿が嫌でも目に入って、そのたびにあたしの心臓はナイフで刺されたみたいに痛かった。

登坂さんの隣から離れて、ビールなんかつがないで、そんなに何回も名前を呼ばないで・・・・。

あたしはずっと、そんなことを思いながらモッサ君の隣にいた。


自分から“想うだけでいい”と決めたくせに、どうしても綾ちゃんに嫉妬してしまうことが情けなくて、たまらなく嫌で・・・・。

それを紛らわすために、あたしは飲めないお酒を無理やり飲んだ。





それからほどなくして、みんながいい感じに酔っ払った頃。


「長澤!飲みすぎだって!」

「いいの!飲みたいの!」


そう言って、あたしはモッサ君が奪い取ったビールを乱暴に奪い返していた。

モッサ君のワイシャツの手首にもあたしの手首にも、冷たいビールがピチャッとかかる。

あたしだけ、お世辞にも“いい感じ”とは言えない酔い方。


でも、次の瞬間には・・・・。


「モッサ君・・・・気持ち悪い・・・・」

「はっ!? ちょっと待って!トイレまで我慢しろ、連れて行く!」
 

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