俺のココ、あいてるけど。
 
綾ちゃんのその言葉には独特の含みがあって、本当に心配しているようにも聞こえるし・・・・別の意味で言っているようにも聞こえる。

その大きな目の奥にも、同じようにどちらにでも取れる意味があるように感じた。


“未来さんと登坂さん、同じ理由で飲んでいるみたいだよ?”

綾ちゃんのそんな声が、今にも聞こえてきそう・・・・。


「あたしはちょっと飲みすぎただけ。久しぶりのお酒だったから、なんだかおいしくって」


だからあたしは、その言葉と目を誤魔化すように笑って言った。


「ふぅ〜ん、そっかぁ。あ、モッサ君が心配してましたから、早く戻ってあげてください♪」

「うん、ありがとう」

「はぁい♪」


一瞬、視線が鋭くなったように感じたけど、それが嘘みたいに綾ちゃんはすぐに笑顔になった。

そして、ヒラヒラと手を振って飲み会の席に戻るあたしを見送る。

そんな綾ちゃんが、どうしてなのかな・・・・あたしには怖かった。






もしかして・・・・綾ちゃんは気づいているの?

あたしの気持ちに・・・・。
 

< 162 / 483 >

この作品をシェア

pagetop