俺のココ、あいてるけど。
そうして、自分の気持ちの行方も分からないまま時間は過ぎ、8月になろうとしていた。
俺にとっては、いつもと変わらない8月。特に何をしようというわけでもない。
でも・・・・。
「登坂さ〜ん♪ ねぇ、今度、海に行きませんかぁ?」
梅村綾だけは違うようだ。思いっきり夏を楽しんでいる。
どうしてここまで底抜けに楽しそうな顔ができるのかと、毎度のことながら不思議に思う。
「なんで俺が海なんかに行かないとならない。メリットがない」
俺は大きなため息をついたあと、足早に店内を歩きながら言った。
もう一つ分からないのは、以前と何も変わらない梅村綾の態度。
一体何を考えているのか、全く検討もつかない。
勘のいい奴だろうと思う。
だから、どうして俺に絡むのかが分からないんだ。
「メリットならあるじゃないですかぁ。今年の新作水着、綾が着るんですよ♪」
「興味ないし。いつまでも無駄話ばかりをするなら、バイト、辞めてもらうからな」
「あっ!ちょっと!今のは冗談ですって!待ってくださいよぉ!」