俺のココ、あいてるけど。
梅村綾は慌てた様子で俺のあとに続く。そういえば、夏休みだからと朝から来ていたっけ。
バイトで俺に絡むことくらいしか楽しみがないのだろうか。
夏休みなのに暇な奴だ。
「でね、未来さんとモッサ君と、登坂さんと綾で夏の思い出を作りましょうよ♪」
「勝手に作れ」
「ひどい〜!今年の夏は一度きりなんですよぉ?」
「だから何だ。俺は忙しい」
すたすた歩く俺と、小走りで追いかけてくる梅村綾。
お客様が少ない時間だからあまり目立たないからいいものの、どうしてこう、いつも彼女はいきなりなんだ。
時給下げてやろうか・・・・なんて、ますます腹の虫が暴れる。
「登坂さん、毎日ムスッとしてるから、楽しいことがあったら元気出るかなぁっ思って。・・・・迷惑ですか?」
「迷惑だ」
「もぉ!! 登坂さんのバカッ!!」
俺が間髪入れずに拒否すると、梅村綾は風船みたいに膨れてパタパタと走っていった。
・・・・少し言いすぎたか?
いやいや。
モッサなんかと誰が好き好んで行くというんだ、バカげた話だ。