俺のココ、あいてるけど。
そんな長澤に後押しされた俺。
「じゃあ、どこかで───・・」
“お茶でもどうだ?”と言いかけて、長澤の様子が少し変なことに気がついた。
「・・・・嘘だぁ」
「どうした?」
長澤がバッグの中を見て嘆く。俺も慌ててそれを覗き込む。
「小百合め・・・・」
「鍵・・・・だな」
さっきの2人から想像すると、どうやら長澤は友だちに騙されたらしかった。
友だちの意図は分からないが、長澤が必死に取り返そうとしていた鍵は自分のではなく、その友だちのもののようだ。
取られたと思っていた鍵は、バッグの中にしっかりある。
次第に怒った顔になる長澤と、心の中で友だちに感謝をする俺。
今まで気づかなかった長澤も相当抜けてはいるが、危ない橋を渡る友だちにも感心した。
あとで怒られることを見越してでも、彼女は相当一緒に選びたくなかったのだろうか・・・・。
「すみません、登坂さんっ!ちょっと電話を・・・・」
「あぁ」
するとそこに───・・。
ブー、ブー・・・・。