俺のココ、あいてるけど。
 
そうして、あたしたちは部屋までの道のりをゆっくり帰った。

虫の声に耳をすましたり、時折、サーッと吹く風に揺れる風鈴の音色を聞いたり・・・・。

夏の盛りの涼しいひとときを噛みしめるように2人並んで歩いた。





あたしの部屋に着くと、小百合はお風呂を簡単にシャワーで済ませてすぐに眠ってしまった。

新幹線での長旅でよっぽど疲れていたんだと思う。

それにワインもたくさん飲んでいたから、その酔いもきっとある。

こっちに来る前は『未来と朝まで語り合うから!』なんて言っていたけど、それは明日だね。


「おやすみ」


スースーと気持ちよさそうな寝息を立てる小百合にそう言うと、あたしもベッドに入った。

今日のことを思い出しながら、隣の部屋の登坂さんを想って・・・・。















 

< 214 / 483 >

この作品をシェア

pagetop