俺のココ、あいてるけど。
 
そんなあたしは、滅多に見られない登坂さんの私服姿にしばらく見惚れていた。

すると・・・・。


「未来さんはモッサ君の車ね!」


と、綾ちゃんが耳打ちする。


「・・・・えっ?」

「登坂さん眠そうなんだもん。綾が運転するから、後ろのシートで休んでもらおうと思って♪」

「あ、うん・・・・それがいいね」


さすが綾ちゃんも登坂さんを好きなだけはある。・・・・眠そうなの、気づいていたんだ。

運転もできないあたしは、それに気づいても何もできない。

なんか、出鼻からくじかれそうだよ、あたし・・・・。悔しいなぁ。


綾ちゃんの車に乗り込む登坂さんを複雑な気持ちで見るあたし。

こんなことだったら、怖いからって免許を諦めなきゃよかった。

今さら遅いけど・・・・。


「ほら、長澤!荷物渡して!もう車出すから!」

「うん」


そんな些細なことにさえ落ち込んでいると、モッサ君が腕を伸ばしてそう言った。

モッサ君の笑顔は心が和む。

でも、もう一度登坂さんを見ないわけにはいかなかった。
 

< 228 / 483 >

この作品をシェア

pagetop