俺のココ、あいてるけど。
そんなあたしは、滅多に見られない登坂さんの私服姿にしばらく見惚れていた。
すると・・・・。
「未来さんはモッサ君の車ね!」
と、綾ちゃんが耳打ちする。
「・・・・えっ?」
「登坂さん眠そうなんだもん。綾が運転するから、後ろのシートで休んでもらおうと思って♪」
「あ、うん・・・・それがいいね」
さすが綾ちゃんも登坂さんを好きなだけはある。・・・・眠そうなの、気づいていたんだ。
運転もできないあたしは、それに気づいても何もできない。
なんか、出鼻からくじかれそうだよ、あたし・・・・。悔しいなぁ。
綾ちゃんの車に乗り込む登坂さんを複雑な気持ちで見るあたし。
こんなことだったら、怖いからって免許を諦めなきゃよかった。
今さら遅いけど・・・・。
「ほら、長澤!荷物渡して!もう車出すから!」
「うん」
そんな些細なことにさえ落ち込んでいると、モッサ君が腕を伸ばしてそう言った。
モッサ君の笑顔は心が和む。
でも、もう一度登坂さんを見ないわけにはいかなかった。